なんちゃって合気道。
昔の写真を整理した所、とても懐かしい写真が出てきました。
実は11歳の小5から22歳で実家を出るまでの11年間、地元横浜の「中村道場」でみっちり「合気道」をやっていました。その後も実家に帰ったついでに稽古をしたり、ちょくちょくやっていたのですが、遠ざかって早いものでもう10年程経ちます。ウチの流派は本流の「植芝流」ではなく、「武田流」。更にそっからに分かれたヤツだったと記憶してる…。
小5の時に友達がやっているのを見学しに行き、やっていた試合に目を奪われて、これだ!っと思って入門したのを今でも覚えている。合気道って一般的にはクルクル踊っている様なイメージですが、ウチの道場は違います。もちろんそういった「型」はちゃんとあるのですが、加えて「乱取り」(どつき合い)があります。分かり易く言えば、今流行の「総合格闘技」ってやつ。剣道の竹刀を「手刀」(薄いスポンジが入った小手をはめる。グローブみたいなモノ)に変えて、防具なしで打ち合います。(まともに入ると呼吸出来なくなります。)動きは素早く、組んで良し、投げて良し、押さえ込んで極めて良し、ルールのあるどつき合いです。
昔から乱視で遠近感がないので、球技は球が自分に向かって来ているのが把握出来ずにからっきしダメでした。手の届く間合いで競い合うのなら俺にも出来ると思ったのが切っ掛け。上達も早かったです。2年目には初段を取り、その後も昇段して高3の頃には4段までになりました。怪我をしてても「乱取り」だけは必ずやってたくらいどつき合いが性に合っていたし、当時なんとも言えないワクワク感があった。血の気が多かったんだろう。

↑15年前、高3の頃。この頃は杉板を6〜7枚は手刀で軽く割ってた。おそらく全盛期だったかもしれない??
右が俺、左が赤城くん。(この人が強かった…。)
この「中村道場」昔は虎の穴でした。(笑)(合宿では歩けなくなる程しごかれ、階段を這って昇るくらい。)
俺が小さい頃は近所の高校はスクールウォーズ状態で、そんな地元をシメていた歴代の番長さんが在籍しており、そんな方々に鍛えられたおかげで自然と強くなった。昔怖かった人って大人になるとメチャクチャ優しくなるのが、逆にまた凄みを増します。同世代には二つ上に赤城くん(Mr.合気道)、一つ上に自分の高校をシメてた憲吾くん(まるで熊の様なデカさ)、一つ下に隼人(負けず嫌い)の山口兄弟。そして俺。この4人が飛び抜けていた。そんな環境の中で互いに削り合い、相乗効果で自然と鍛えられたのでした。初めは勝ったり負けたりだったけど、いつからか、手の内が分かり切っているので、何度やっても殆どが引き分けに終わる事が多かった。この4人がやっているのを周りが見ているのは面白かったみたい。
記憶が甦って来た。
24歳の時にヨーロッパを旅した際に、バルセロナとマドリッドで道場を探して稽古に参加した。向こうで印象的だったのは日本よりポピュラーだった事。あと、実用的な技ばかりをひたすら練習してた事。後々経験する事になるのだが、実用的なのはそれもそのはず”必要”だからだった。
帰国3日前。マドリッドで同じ日本人宿に泊まっていたAさんとバルを梯子して、市内を散歩して宿に帰って来た時である。扉を開けてもらった際にモロッコ系の長身2人組がスッと一緒に入って来て、のんきに同じ宿の人か?と思った矢先、階段を駆け上がり、上から凄い力で壁に押さえつけられた。その瞬間、喉元にはキラリと光るナイフが当てられ、「money…」っと。俺はとっさにに右手でナイフを掴み力づくでナイフを払おうとして、丁度目線ぐらいまで持ち上がった時にふと思った。「帰国3日前だろ…。やべぇ、ナイフ掴んでる手、右手じゃん!怪我して筆持てなくなったらどうしよう…。」
そんな時、「キャァァァァァーーー!!」っという奇声がして相手がひるんだ瞬間に振り払い駆け寄ると、もう一人の男が何かを奪って外へ駆け出した。後を追ったが路地を少し入ってしまうと見失ってしまう。宿に戻ると彼女は首から下げていたパスポートと財布を紐ごと引きちぎられて盗まれた様子。お互いにアザ程度で大した怪我もなかったのが不幸中の幸いだった。
宿泊客の中に大使館に顔が利く人がいて、翌日パスポートの再発行やらカードの停止やらを済ませて、現金のみの最低限の被害で済んだ。後から聞いた話。今はどうか分からないけど、マドリッドでは日本人が宿を出てから戻るまで、ずっと同じ人間が尾行しているらしい。隙を見つけてなんでもいいから強奪するそうだ。日本人ならカメラとか何かしら金目の物を持っているのがその理由だとか。バルセロナでは振り向いたら自分の荷物が無くなっていて、盗人とにらめっこした事もあったし、よく盗難の話を聞いたもんだ。
情けなかった事。
何かあったらこれで殴ってやれ!っと散歩途中に買った赤ワインの瓶が割れる事もなく、あさっての方向に転がってた事。さすがにその晩は眠れずに、一緒に泊まってたパン職人の人と2人でワインを空けた。
さらに情けない事。
前日にマドリッドの道場で稽古に参加した為に普段使わない筋肉を使い、その日は凄い筋肉痛で犯人を追いかけるもすぐに足が吊ってしまった事。(笑)
はぁ…情けない。_| ̄|○
自分の身は自分で守るのが旅では必要で、自分を守る事は出来たが、他人を守る事は出来なかった。合気道4段なんて「なんちゃって」じゃん!って。それ以来「なんちゃって」が言葉の前に着く事になる。所詮、こんな状況では人なんて無力な者なのかも知れない。
今では合気道で養った力の使い方で、刷毛で壁をどつく(絵具の粒子をコントロールする)仕事(色をぼかす技)をしています。一応、役には立ってるか。。。
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コメント
はじめまして。いきなりですみません。
デブリプロジェクトの作品が掲載された頃から、こっそりブログのぞかせてもらっていました。
個展を開催されるとのことで、ぜひうかがいたいと思っています。
…が、ブログを拝見させていただいていると、ずいぶんハードなスケジュール(というか夜を明かすこともあるようで)大丈夫かな?とも思ったりしていました。
くれぐれも、お体は大切にして下さいね。
今回書いてみようと思ったのは、強盗?の記事を読んだのでなのですが、まだ大学生だった頃、怖いもの知らずの私はエジプト&ギリシヤへ初海外旅行初一人旅を決行しました。わからないけれど、わかってるふりして歩けば何とかなる!って思って、カタコトの英語で商品をねぎったり、現地の人とお話したりしていました。
石黒さんのブログを読んでいて思い返すと、かなり無鉄砲だった自分に気付き、無事に帰れてよかった。と思いました。
石黒さんも、周囲にいらした方も無事でなによりです。
ではでは、くれぐれも体調に気をつけて、作品制作も頑張って下さい。個展、お伺いするの、楽しみにしています。
投稿: みつこ | 2007年6月22日 (金) 10時08分
みつこさん、初めまして。
制作結構怠け気味で、もっとストイックでなくてはならないと思ってる。現状は仕方ないけど、まだまだ自分に甘い。
ギリシャでは睡眠薬強盗が流行ってましたね。アテネで知り合った日本人は文字通り身ぐるみ剥がされて、素っ裸で大きな公園の噴水の中に浮かんでいた所を保護されて、目が覚めたら病院で大使館の人に状況を説明されたらしい。金品は根こそぎ持ってかれたみたい。
俺もアテネとサントリー二島でぼったくられて、現地の人間と2度程言い合いの喧嘩をした。どちらも勝ったけどね。
一人旅は危険と隣り合わせの緊張感を常に持ってましたよ。
投稿: 石黒 | 2007年6月28日 (木) 17時45分
石黒さん、こんにちは。
いきなりの書込でしたのに、お返事いただけて嬉しかったです。ありがとうございました。
噴水に人を放り込むってすごい発想ですね。驚きです。
体調の方はいかがですか?やらなくてはならないこともたくさんあるかもしれませんが、一番大切なのは体ですので、休養されながら活動なさって下さい。
私は、美術・芸術関係を見るのは大好きですが、作成能力は皆無なので(定規を使ってもまっすぐに線がひけないので)、作品をうみだせる人はこんなことを考えたりこんなことをしながら形にしていくんだなぁ…と、自分の経験できないことをなさっている石黒さんのブログを読んでいて勉強になります。
ではでは、暑い日々が続きますが、本当に体には気を漬けて下さいね。
また書き込みさせて下さい。
ではまた。
投稿: みつこ | 2007年6月29日 (金) 17時27分
早くも寝苦しいですね。昨夜は熟睡出来ませんでした。
合気道使いだけに、気を漬け込んでみます。(笑)
投稿: 石黒 | 2007年6月29日 (金) 22時05分
すみません。
「気を漬ける」ではなく「気を付けて下さい」です。(>_<)(恥)。
でも…「漬けこまれた気」…想像して笑っちゃいました。
投稿: みつこ | 2007年6月30日 (土) 01時09分
たった今、深夜にスーパーの買い物から帰ってきた時の事。
家の前で下着ドロボーに遭遇。
捕まえて〜!の声に応じて咄嗟に銭湯モードが入り、あっけなく捕まえる。
袈裟固めで押さえ込んでいると、声を聞きつけた近所の人が出て来て、「私の弟です。」と。
犯人も逃げる様子がなくなったので、警察が来る前に解いてそそくさと家に帰ってきました。
人の人生にこういう風に関わりたくないけど、犯人にも家族がいて、たまたま自分がそこにいた為に犯人の人生も少し曲げてしまった。社会的には良い事をしたのだろうけど、今とても複雑な気持ち。逆恨みしないでやり直して下さい。と願う。事故にでも遭ったと思って、気持ちに整理を着ける。
初めて合気道が社会の役に立った。教えてくれた先生に感謝をして、「なんちゃって」を今夜だけ外そう。今夜はまだまだ制作続行。明日からまたひかげ君に戻ります。
投稿: 石黒 | 2007年7月 1日 (日) 02時21分